エモリエント(柔軟)成分とは
肌の角層は角層細胞と角層細胞の隙間に
セラミドを主体とした油分が層状に並び、水分や皮脂成分を含んで
角層から水分が蒸発することを防いでいます。
この働きを補強したり補ったりする油性の成分を
エモリエント成分と呼んでいます。
角層の細胞間隙を油分が十分に補給されることで
角層が柔軟になり、肌表面では
ツヤが出て来ます。
そもそも人類は肌の乾燥を守るために動物や植物の油を肌につけていましたが、乳化という化粧品を作る技術が生まれたことで油をクリームとして肌に快適になじませるようにできたのです。
柔軟になった状態の角層モデル図
エモリエント(柔軟)成分のはたらき
エモリエントとは
柔らかな状態にするという意味ですが、機能的には
肌の保湿機能とも大きく関わっています。
多くの油性成分はエモリエント機能と保湿機能を併せ持っています。
つまり保湿機能により角層を構成しているケラチンタンパク質は
水分が満ちて柔らかくなり、
角層細胞と角層細胞の間は
エモリエント機能の油性成分が満ちて柔らかくなるという感じです。
このように
健康で美しい皮膚のバリヤー構造はエモリエント成分と保湿成分が組み合わさってできていますので、
エモリエント機能をもつ化粧品は肌の状態によりそれぞれのバランスを考慮して処方されているのです。
日常的なものに例えると、ハンドバッグなどの皮製品にクリームやオイルをつけて手入れすると、光沢と柔軟性が出ることに似ています。
【引用著書】
- プロのためのスキンケアアドバイスの基本:第1章 P37
- ※当コラムはフレグランスジャーナル社/岡部美代治 (著)から特別に許可を頂き、加筆・修正した記事を掲載しています。
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