膝が痛いと、
歩く・階段の昇り降り・起床時など、ひとつの動作で一苦労する場合が多いと思います。
特に
膝の曲げ伸ばしで痛みが強まります。
だからといって、膝を伸ばしたまま生活するわけにもいきません。ひどくさせないためには何をすればよいのでしょう。
40歳以上の男女に「
膝が痛くて辛い場面はどんなとき?」かアンケートを実施しました。
【質問】膝の痛みが一番辛い場面はどんな時ですか?
【回答数】
階段を昇り降りするとき : 48
椅子やソファなどに座る時 : 3
歩く時 : 19
ベッドや布団から起き上がる時 : 12
立っている時 : 5
その他 : 13
やっぱり階段の昇り降りは一番辛い
アンケートの結果、半数近い人が
「膝の痛みが一番辛いのは階段の昇り降りのとき」と回答しています。
- ・膝の痛みにはそれほど悩まされてはいませんが、長時間座ってた後に階段を上り下りすると、たまにピキーンとなります。
(40代/女性/専業主婦(主夫))
- ・あまり膝の痛みを感じるときは、まだあまりありませんが、時に階段のくだりで感じるときがあります。こういうときは手すりを使わなければ降りられません。無理は禁物でとても危険です。
(40代/男性/派遣社員)
- ・普通の道を歩くときは、ゆっくりと歩けば膝の痛みは伴いませんが、階段などの段差のあるものを歩くときには、びりびりとした痛みを感じるからです。
(40代/男性/正社員)
- ・階段が一番困ります。遠回りしてもエレベーターやエスカレーターを利用しています。
(70代/男性/無職)
普段の歩行には問題がないけれど、階段になると膝に負担がかかり過ぎて痛みを感じるという人が多かったです。
少し重症度が増した人では、階段の利用は難しく、
少々遠くてもエレベーターやエスカレーターを利用すると回答しています。
しかし、全ての建物にエレベーターが用意されているわけではないので、階段を使用しなければいけない場面に遭遇すると辛いでしょう。
自宅も2階建ての人になると、階段をできるだけ使用しないですむような
生活の工夫が必要になるかもしれません。
2割の人は歩くときにも痛みがある
アンケートによると、階段の昇降時の次に多い回答は
「歩行時」でした。約2割の人が歩く時が一番膝が痛くて辛いと回答しています。
- ・長時間歩いていると、歩くことができなくなるぐらい痛みが出るときがあります。
(40代/男性/無職)
- ・50を過ぎてから時々膝がしびれるような痛みがあります。 知り合いからは老化だよといわれます。
(50代/男性/正社員)
- ・早歩きや走ったりすると傷むので、ここ数年、思いっきり走ることはしていませんし、歩く速さも人より遅い です。
(40代/男性/正社員)
- ・外出先でちょっと長い距離を歩いた時などがしんどいです。ヒールなどのオシャレ靴が履けなくなりました。
(40代/女性/専業主婦(主夫))
歩いたら膝が痛むといっても、普段の歩行程度では大丈夫な人がほとんどです。
長時間歩き続けると、膝が痛くなるという人が多いようです。進行すると、
歩行時に常に痛みを感じるようになり、さらに進行すると、
膝を動かすたびに痛みを感じて、日常生活を送るのが難しくなることがあります。
しかし、
自覚症状と膝の状態が必ずしも一致しないのも特徴の一つです。
症状が軽くても膝の状態はあまりよくなかったり、逆に症状がひどくても進行度はそれほどでもないということがあります。
膝の痛みが強くならないように、膝の状況が進行しないために、日常生活でできることは何なのでしょう。
専門家の総括
体重の増加を防ぐ
人間は2足歩行で生きていますから、
歩行の度に膝に負担がかかることは、想像がつくと思います。
実際、膝にかかる負担は歩行時には
体重の約3倍になるといわれています。
例えば、
50キロの人で150キロの重さが膝に、
70キロの人では210キロの重さがかかっていることになります。
もし、1キロ体重が増えると、
膝には3キロ重くのしかかることになるのです。逆に5キロ痩せると、
15キロも負担が軽くなります。
運動は必要だけど、膝への無理は禁物
膝が痛いと動くことが億劫になってしまいがちです。
動かないでいると筋肉がおちてしまうので、結局は膝の負担を増やすという悪循環にはまってしまいます。
膝の痛みがあっても
膝に負担をかけずに運動を行うことは大切です。
膝の痛みを我慢してまで運動を行うことは厳禁です。
エアロビクスや水中ウォークは膝への負担が少ないのでおすすめですし、手軽に行える運動として人気なのは
ウォーキングでしょうか。
しかし、ウォーキングやジョギングで膝を悪くさせる人も多くいます。正しいウォーキングの仕方を身につけることも重要です。
膝に痛みがあると、歩行に支障がでて、ひどくなると日常生活もままならなくなってしまうことがあります。
膝の負担を軽減するには体重を増加させないことです。少しずつ標準体重に持っていけるように努力します。
膝に負担のかからない運動を続けることで、筋力の低下を防ぎましょう。
痛みが軽いからと膝の状況が悪くないとは限りませんので、ご自分の体と相談して生活するようにすることが大事というのが、医師からのアドバイスです。
【アンケート概要】
- 調査地域:全国
- 調査対象:【年齢】40 − 49、50 − 59、60以上
- 調査期間:2017年05月11日〜2017年05月25日
- 有効回答数:100サンプル
- 調査企業:株式会社ウィルゲート
執筆者:冨澤英明医師(東京蒲田病院整形外科勤務)
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患者様に向き合う現場を15年以上経験するドクター。地域に根差した医療を行うことで地域の皆さまからも信頼をされ、常に患者様・ご家族の目線に立った治療を行っている。