年齢を重ねるとともに、
身体のあちこちに痛みが現れるという話はよく聞きます。
人間が立つことを選んだ宿命なのでしょうか。特に、
膝や腰に
負担がかかることが多いようです。
しかし、限界を超えた痛みでない限り、なかなか病院に行く人は少ないかもしれません。実際のところ、
放っておいて問題はないのでしょうか?
今回は、40歳以上の男女に体の中で一番ひどく
痛む部位についてアンケートを実施しました。
【質問】体の中で痛みが一番ひどいのはどこですか?
【回答数】
膝 : 14
腰 : 25
手足 : 1
肩 : 39
首 : 17
その他 : 4
約4割の人が肩の痛みが一番つらい
アンケートの結果、
約4割の人が肩の痛みが一番ひどいと回答しています。
- ・いきなり50肩になったのでびっくりした。寄る年波には勝てないと実感した。ひどい人は腕が上がらないと聞く。
(40代/男性/派遣社員)
- ・普段は痛くないのですが、風邪を引いたり季節の変わり目などには肩が痛くなります。
(40代/女性/個人事業主)
- ・若い頃から肩こりでしたが、PCを使うようになってさらに肩こりが悪化しました。ひどい時は肩だけでなく、 頭やあごまで痛みが広がります。
(50代/女性/専業主婦(主夫))
- ・数年前から右肩を上げるのが辛くなり、一時はスカートの後ろボタンを留められなかった。
(50代/女性/個人事業主)
- ・若い頃から肩こりがひどかったが、職業柄、同じ姿勢でいる時間が長いので、肩こりが慢性化しひどくなってしまった。
(40代/女性/正社員)
いわゆる
「肩こり」という症状に悩まされている人が一番多いようです。
首から肩にかけて全体的に凝る人も多いと思いますが、首の痛みと合わせると、なんと
半数を超える人数になります。
必ずしも40歳を過ぎてから出始めた症状というわけでもなく、若い頃から肩こりがあり、
40歳を過ぎてさらにひどくなったと感じる声も少なくありません。
また、
パソコンの作業によって、症状が悪化するケースが多いようです。
ぱなしの人が多い?腰痛に悩む人も多い
アンケートによると、肩の次に多かった回答が
「腰」の痛みで、
全体の4分の1の人にあたります。
- ・立ちっぱなしの仕事なので時々腰が痛くなり、辛いときがあります。
(40代/女性/パート・アルバイト)
- ・膝も傷みますが、それは腰の椎間板ヘルニアから来ています。仕事がずっと座ってパソコンを使う作業なので、 腰にきます。
(40代/男性/正社員)
- ・もともとヘルニアがあり、腰を曲げた作業をした後などには痛くなるから
(40代/男性/個人事業主)
- ・力仕事が多いので必然的に腰に負担がかかり、痛みがひどくなります。
(40代/男性/パート・アルバイト)
- ・私は若い頃「腰椎第五関節圧迫骨折」をやっていますので そのときより痛みは持続しています。気圧の関係でひどい時があります。(
50代/男性/個人事業主)
腰痛も肩こり同様によくある症状です。
ヘルニアを患っている人や、
ぎっくり腰、若い頃のケガなどに腰痛の原因がある人もいますが、
力仕事や立ちっぱなし、もしくは座りっぱなしという姿勢が原因の人もいます。
実際に、腰痛の原因はさまざま考えられ、発症の仕方も人によって違いがあります。
急に痛くなる
ぎっくり腰や、じわじわと痛みが襲ってくるもの、腰だけが痛むのではなく
下半身も同時に痛んだり、逆に
膝が痛くて病院に行ったら腰に原因があるということもしばしばあります。
専門家の総括
肩こりの原因と対策
人間は
筋肉を収縮させることで血液を流しているので、
同じ姿勢を長時間続けると、
血流が悪くなり、疲労物質が溜まります。
それが
「凝り」につながるのです。デスクワークが多いという人は、
1時間おきには席を立つ、ときどきストレッチをするなどして、
全身の血流をよくしてやることが大切です。
パソコンを使用する人に多いのが、
眼精疲労からくる
肩こりです。パソコン使用時に、画面を凝視し続けるのではなく、10〜15分おきに遠くを見るようにしましょう。
自分に合っていない眼鏡を使用することでも肩こりが起こることもあります。1日の終わりに
お風呂でゆっくり体を温めたり、目の上を温めるのも目の血行が良くなるので効果的です。
肩の筋力が低下して肩こりを起こすことも考えられますので、
適度な運動を続けることは大切です。
他にも、
冷え性や精神的ストレスなどによって肩こりを起こすこともあります。
体を温める食べ物を意識して食べたり、
夏場のエアコンには注意が必要です。
精神的ストレスについては、しっかり睡眠をとり、まず身体的ストレスを解消することから始めるとよいでしょう。
腰痛は放置しても問題はないの?
腰痛はときに内臓疾患、がん、感染症といった重大な病気が隠れていることがあります。歳のせいと軽く考えるのは危険です。
まずは、それらの重大な病気の可能性を否定することが重要です。
腰の骨の中にはたくさんの神経の束があり、それらが枝分かれして下半身に向かいます。腰の骨に問題があり、
神経が圧迫されて、
膝が痛んだり、排尿時に違和感が生じたり、ということも考えられます。
腰が関係していると思わないので、それらの症状もまた、歳のせいだと放置することで、
治療が遅れると、回復に影響がでてきます。
痛みの部位がどこであれ、痛みが出現したら、
痛みの原因を探ることが基本です。重大な病気でなくても、原因がはっきりすることで、自分に合った正しい対策もみえてきます。
ひどくなればなるほど症状のコントロールは難しくなりますので、歳のせいだと片付けずに、
きちんとした対処をするように心がける必要があるというのが医師からのアドバイスになります。
【アンケート概要】
- 調査地域:全国
- 調査対象:【年齢】40 − 49、50 − 59、60以上
- 調査期間:2017年05月11日〜2017年05月25日
- 有効回答数:100サンプル
- 調査企業:株式会社ウィルゲート
執筆者:冨澤英明医師(東京蒲田病院整形外科勤務)
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患者様に向き合う現場を15年以上経験するドクター。地域に根差した医療を行うことで地域の皆さまからも信頼をされ、常に患者様・ご家族の目線に立った治療を行っている。